しのくまクリーニング(福岡県筑前町)|街のクリーニング名鑑

最初に

不入流の看板が掲げられたしのくまクリーニング入口

福岡県朝倉郡筑前町にある「しのくまクリーニング」は、シミ抜きや着物、革製品の修復まで幅広く対応する専門店です。

長年培ってきた技術はもちろんですが、今回の取材で最も印象に残ったのは、店主・やっちゃんの人柄でした。

夜行バスで高知へ通い技術を学んだこと。

今でも大切に使い続ける染み抜き台。

そして、お客様の涙につながった一つの出来事。

技術だけでは語り尽くせない、「人を大切にする職人」の姿がそこにはありました。

今回は、そんなしのくまクリーニングをご紹介します。

しのくまクリーニングで着物を丁寧に仕上げる様子

しのくまクリーニングについて

不入流の看板が掲げられた店内受付

昭和43年、現在の店主が生まれた年に、ご両親が「しのくまクリーニング」を開業しました。

店名は、お店の前にあった「しのくまバス停」が由来です。当時、この地域の中心地が篠隈だったことから、その名前が自然と店名になりました。

高校卒業後、店主は家業へ入り、地域のお客様を中心にクリーニングの仕事を続けてきました。

創業当時は、地域のお客様が約9割。

現在では一般クリーニングだけでなく、シミ抜きや着物、革製品の修復を求めて県外からも相談が寄せられる専門店へと成長しています。

一般のお客様だけではありません。

クリーニング店から「このシミだけお願いしたい」と依頼を受けたり、企業から相談を受けたりすることもあるそうです。

Instagramを見て相談に訪れる方や、郵送で全国から依頼される方も増えています。

地域密着で始まったお店が、今では技術を求めて全国から相談される存在になっています。


しのくまクリーニング作業風景

シミ抜き・着物・革修復まで対応する専門店

しのくまクリーニングが特に力を入れているのは、シミ抜きと修復技術です。

和服をはじめ、一般衣類、革ジャン、ブランドバッグ、財布、シューズなど、幅広い品物に対応しています。

特に革製品は、洗浄だけではなく色補修や修復まで行っています。

口コミから相談が広がり、「前回お願いした職人さんに、今回もお願いしたい」と指名で依頼されることも少なくありません。

店主は、こんな言葉を話してくださいました。

私は単に汚れを落とすだけでなく、「お客様の思い出や大切な一着一着を、最善の状態でお返しすること」を大切にしています。

お預かりした品物を、自分の持ち物だと思って向き合う。

その姿勢が、多くのお客様から信頼される理由なのだと感じました。

革製品の修復作業を行うしのくまクリーニング

夜行バスで通い続けた、不入流との出会い

店主が大きく成長するきっかけになったのが、「不入流」との出会いでした。

家業を継いだばかりの頃、変色したシミなど、自分では落とせないシミが数多くありました。

「もっと技術を身につけたい。」

そう思っていた頃、業者さんから高知県で行われる勉強会へ誘われます。

そこで出会ったのが、不入流の高橋先生でした。

初めて見たシミ抜き技術に衝撃を受け、「この技術を学びたい」と強く思ったそうです。

その後は、毎月のように福岡から高知へ。

金曜日の夜に夜行バスへ乗り、

土曜日の朝に高知へ到着。

土曜・日曜の二日間みっちり勉強し、

日曜の夜に再び夜行バスへ。

そして月曜日の朝に博多へ着くと、そのまま仕事へ向かう生活を続けました。

もちろん、勉強だけではありません。

高橋先生と一緒にカツオを食べたり、川へ行ったり、山へ出掛けたり。

夜はお酒を飲みながら語り合い、翌日はまた技術を学ぶ。

そんな時間も、今ではかけがえのない思い出になっているそうです。

努力を積み重ねた結果、後に「不入流」の看板を授かり、現在も店頭に掲げています。

技術だけでなく、人との出会いもまた、しのくまクリーニングの財産になっています。

着物クリーニングに対応するしのくまクリーニング
一枚ずつ状態を確認しながら作業を進める様子

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設備と作業環境

しのくまクリーニングのクリーニング設備

しのくまクリーニングでは、一般的なクリーニング設備に加え、シミ抜きや色補修、革修復に対応する専用設備を備えています。

長年使い続けている設備も多く、一台一台を大切にメンテナンスしながら使用されています。

華やかな最新設備ではありません。

しかし、その設備から数え切れないほどのお客様の大切な衣類や革製品がよみがえってきました。

設備以上に、それを扱う経験と技術。

それが、しのくまクリーニングの強みです。

シミ抜きや修復作業を支える設備
店内で使用しているクリーニング機械

今も大切に使い続ける「思い出の染み抜き台」

長年使い続けている染み抜き台

技術は、新しい道具だけで生まれるものではありません。

しのくまクリーニングには、店主が今でも大切に使い続けている一台の染み抜き台があります。

それは、不入流を学び始めた頃、業者さんが高橋先生を招いて開催した勉強会で実際に使われていた染み抜き台です。

その後、店主はその染み抜き台を譲り受け、現在まで何十年も使い続けています。

「新しいものを買おうと思えば買えます。でも、この台だけは手放したくないんです。」

そう話す店主の表情からは、単なる道具以上の存在であることが伝わってきました。

夜行バスで高知へ通い続けた日々。

何度も失敗し、何度も挑戦した時間。

そのすべてを、この染み抜き台は見てきました。

だからこそ、今でも現役で活躍しています。

「これがあったから、今の自分があります。」

その一言には、長年積み重ねてきた努力と感謝の気持ちが詰まっていました。

長年培った経験をもとに着物の状態を確認する店主

お客様の涙が教えてくれた、本当に大切なこと

お客様の大切なバッグを丁寧に確認する店主

今回の取材で、最も印象に残ったお話があります。

ある日、一人の女性がお店を訪れました。

「古い財布なんですが、見てもらえますか。」

クリーニングではありません。

長年使い続けたルイ・ヴィトンの財布でした。

ファスナーが壊れ、小銭が落ちてしまう状態だったそうです。

ご主人から新しい財布は買ってもらっている。

それでも、

「この財布だけは手放したくないんです。」

そう話されたそうです。

店主は財布の状態を見るだけではなく、お客様の話をゆっくり聞きました。

聞こえやすいように、そっと耳元で話しかけながら。

すると突然、お客様は涙を流し始めました。

店主は驚き、

「どうされたんですか?」

と声を掛けます。

するとお客様は、

「耳が聞こえにくいんです。耳元で優しく話してくれて、本当に嬉しかった。」

そう話されたそうです。

店主は、この出来事を今でも忘れられないと言います。

財布を直すだけでは終わりませんでした。

休日には、自らブランドショップへ足を運び修理の相談もしています。

しかし、提示された修理費は約5万5千円。

「この金額では、お客様もきっと困る。」

そう考えた店主は、人づてに修理先を探し続けました。

そして約1万5千円で修理してくれる職人を見つけ、お客様へつなぐことができました。

「すごく喜んでもらえました。」

店主は照れくさそうに笑いながら話してくださいました。


シミだけではなく、思い出も守りたい

しのくまクリーニングの受付

店主が何度も口にされていた言葉があります。

「汚れを落とすだけじゃないんです。」

この一言には、しのくまクリーニングの仕事への考え方が詰まっています。

着物も。

財布も。

バッグも。

革ジャンも。

そこには、それぞれのお客様だけの思い出があります。

だからこそ、

「自分の品物だと思って作業する。」

それが店主の変わらない信念です。

シミを落とす技術。

色を補修する技術。

革を修復する技術。

どれももちろん大切です。

しかし、それ以上に伝わってきたのは、

「お客様の気持ちまで預かる仕事」

をしているということでした。

それは、機械だけでは決してできない仕事です。

長年地域で愛され、多くの方から指名され続ける理由が、今回のお話を通してよく分かりました。

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「やっちゃん」と呼ばれる店主

お客様から「やっちゃん」と親しまれる店主

しのくまクリーニングの店主は、お客様や同業者から「やっちゃん」の愛称で親しまれています。

きっかけは、お母様が「やっちゃん」と呼んでいたこと。

その呼び方が自然と周囲にも広がり、今ではお客様も、同業者も、業者さんも、みんなが「やっちゃん」と呼ぶようになったそうです。

店主は笑いながら、

「昔は社長って呼ばれていたんですけどね(笑)」

と話してくださいました。

その親しみやすさは仕事だけではありません。

飲み会の日程を決める時も、

「やっちゃんの都合に合わせよう。」

と周りが自然に動いてくれるそうです。

「本当に周りの人に恵まれています。」

そう話す姿からも、人とのつながりを大切にされていることが伝わってきました。


筑前町を盛り上げる『恐竜』店主?

ここまで読んできた方は、

「まじめな職人さんなんだな。」

という印象を持たれたかもしれません。

……ですが、実はもう一つの顔があります。

休日には、地元・筑前町を盛り上げる「推し活」メンバーとして地域イベントにも参加。

恐竜の着ぐるみを着たり、サンタクロースになったり、仲間と一緒にダンスを踊ったり。

Instagram動画を通じて、「筑前町って楽しい町だよ!」という魅力を発信しています。

メンバーは、女性4人とやっちゃん1人。

店主は照れながら、

「ダンスは下手なんですけどね(笑)」

と話してくださいました。

普段はシミ抜きや修復に真剣に向き合う職人。

でも休日は地域を笑顔にする盛り上げ役。

そんなギャップも、やっちゃんの魅力の一つです。

地域イベントに参加する店主
地域イベントに参加する店主
筑前町のイベントを盛り上げる恐竜姿の店主
筑前町のイベントを盛り上げる恐竜姿の店主

これからも、一着一着に向き合い続けるために

現在、お店の仕事はすべて店主一人で行っています。

受付。

シミ抜き。

着物。

革修復。

仕上げ。

配達。

すべて一人。

決して楽な仕事ではありません。

それでも、

「寿命がある限り頑張っていきたい。」

その言葉には、長年この仕事と向き合ってきた覚悟が感じられました。

最近では、

「弟子になりたい。」

「跡を継ぎたい。」

そんな相談を受けることもあるそうです。

長年積み重ねてきた技術や人柄が、多くの人を惹きつけている証なのかもしれません。

これからも、技術を磨きながら、一着一着と丁寧に向き合っていく。

そんな想いが伝わる取材でした。

一着ずつ丁寧に確認するしのくまクリーニング

街クリ編集部より

今回、しのくまクリーニングを取材して感じたことがあります。

最初は、

「シミ抜きや革修復に強い専門店」

という印象でした。

しかし、お話を伺ううちに、その印象は少しずつ変わっていきました。

夜行バスで高知へ通い続けた修業時代。

何十年も使い続ける染み抜き台。

耳が聞こえづらいお客様へ、そっと耳元で話しかけたこと。

休日までお客様のために修理先を探し回ったこと。

そして、休日には恐竜になって地域を盛り上げていること。

どのお話にも共通していたのは、「誰かのために動く」という自然な優しさでした。

もちろん技術も素晴らしい。

ですが、それ以上に心に残ったのは、店主の人柄です。

大切な一着を預けるなら、

「この人なら安心できる。」

そう感じさせてくれる職人さんでした。

街クリ編集部が、自信を持っておすすめしたい一店です。


店主から皆さまへ

皆さんのクローゼットに、

「捨てられないけれど、使えない。」

そんな洋服やバッグ、財布は眠っていませんか。

しのくまクリーニングでは、衣類だけでなく、革製品やブランドバッグ、財布のご相談も受け付けています。

写真を送ってのご相談や、お電話でのお問い合わせにも対応。

全国から郵送でのご依頼も可能です。

「もう使えないかもしれない。」

そう思った品物でも、一度相談してみることで、新しい可能性が見つかるかもしれません。

思い出の詰まった大切な一品を、もう一度使えるように。

そんな想いで、一着一着と向き合っています。


料金の目安

品目料金(税抜)
ワイシャツ350円
ズボン800円
ジャケット1,200円
スーツ上下2,500円
セーター800円
ワンピース1,600円
コート2,800円〜

※商品の状態や素材によって料金は異なります。詳しくは店舗へお問い合わせください。


店舗情報

店舗名

しのくまクリーニング

住所

福岡県朝倉郡筑前町東小田1143-28

電話番号

0946-28-9760

営業時間

  • 月曜 12:00〜18:00(午前配達)
  • 火曜 12:00〜17:30
  • 水曜 9:00〜18:00
  • 木曜 16:00〜18:00(配達後営業)
  • 金曜 12:00〜18:00
  • 土曜 9:00〜18:00

※日曜・不定休(受け渡しは相談可)

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